発達凸凹の不思議~できないことって努力不足なの?~

以前、ADHD当事者である広野ゆいさんの講演を聴きに行ったことがあります。

当事者の方のお話は、私たちが普段感じていない「当たり前の世界」が「当たり前」でないということを教えてくれます。
しかし、「なぜそうなっちゃうの?」「どうしてできないの?」は当事者の方でも「わからない」ことが多いようです。

なぜかそうなっちゃう。

定型の方でもそんなことはたくさんあるでしょう。
でも、なぜか発達凸凹はその「なぜかそうなっちゃう」が許されない。
それは斜め上行く「なぜかそうなっちゃう」からなのかもしれません。

時間の感覚がつかみにくいので、何をするにも時間がかかってしまう。
時間の感覚と作業時間の割合がわからないので、約束に間に合わない。
説明を求められると焦って、答えはわかっているのに回答できない。
複数の音の中では聞き分けができない。

いくつか上げてみましたが、これに「どうして?」と問われても、自分で答えるのって難しそうですね。
やっぱり「なぜかそうなっちゃう」と言うしかなさそうです。

広野さんは全編通してこうしたメッセージを送っていらっしゃいました。

できないことをできるようにするのではなく、その人の良いところ、できるところを伸ばす。

勿論ですが、おっしゃられていることが社会生活で必要なルールを学ばせなくていいということではなく、どうしてもできないことに時間とエネルギーを割くより、伸びるところをもっと伸ばして生きる力にするということです。

凸凹さんたちは、興味のあることにはとても素晴らしい集中力を発揮できるのです。

できないところはどうあってもできないので、これをできるようにするのは非常に難しく、
当人の自尊心の低下も著しいだろうと予想するのは容易です。

無理かどうかを適切なタイミングで見計らい、合理的な配慮をしていくほうが、凸凹さんには適しています。
そして、できないところに無駄に力を注ぐのではなく、
できるとことをぐっとのばしてあげることで、生きる力につなげていくということなのです。
生きる力とは、自己肯定感であったり、興味を持った仕事に就くことであったり、特技を生かして生きるということであったりします。

定型発達と呼ばれる人たちは、日常の中で、自分でも気が付かないうちに実はものすごい情報の処理を行っています。
先ほど挙げた例で言うと、音の聞き分けです。
どんなにうるさい場所でも、聞きたい音、話し声を探し出して、それをスポット的に拾って聞いているんです。
意識なんてしていないと思います。
勝手にできてます。
でも、これが発達凸凹さんの中にはできない方がいらっしゃるということなのです。

それでは、こうした聴覚の過敏さを持つ凸凹さんたちが、ざわざわした場所、教室で、どうやって話を聞いているんでしょう?
それはそれはぐっと集中してたくさんの音の中から一生懸命その音を探して、聞こえにくい中を一生懸命聞くのです。
相当の集中力が必要と思われます。
これを学校や会社にいる間中しているわけです。

不安が強い子になれば、朝から不安と闘いながら出かけていきます。
触覚が過敏であれば、触れるものにいつも気が行くでしょう。
そうやって、あれもこれも非常にアンテナを強く張りながら、ストレスフルで生活をしているのです。

「もっと頑張ればできるよ。」

なんて、とても言えませんね。
そう、すでに日常生活を送るうえで、十分一杯まで頑張って、社会生活を営んでいるのです。
定型のお子さんが難なくこなすことを、凸凹があったらそれはもうこれでもかと頑張るわけです。
凸凹さんは非常にまじめで正直で素直なので、本当に頑張るのです…

大人でも、ストレスが強くなれば混乱することもあります。
病気になることもあります。
そんなときに

「怠けてるからできないんじゃない?」

「頑張りが足りない」

と言われたら、どうでしょう?
人にはわからない努力や忍耐を重ねても、できないことはたくさんあると思うのです。
ただ一言

「いつも頑張ってるね」

「ここまでできて、すごいね」

と言ってもらえることで、気持ちが救われる体験はどなたでもしたことがあると思います。
頑張ってもなかなか理解してもらいにくい凸凹さんには、この『受容してもらえる』言葉が非常に重要です。

発達凸凹の方々は、日々の生活がすでにストレスフルで始まるのです。
オーバーフローが早いのも頷けます。
ではオーバーフローした時にはどうなるのでしょうか?

それはまた次回に続けます。

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